第一部:夢見る美容室オーナー、事業計画書の魔物に挑む!
2024年12月頃の話
師走の冷たい風が吹き荒れる仙台の街で、一人の美容室オーナー、Keiは静かに燃えていた。来たるべき自分の「城」、お客様の笑顔が咲き誇る空間を創り上げるために。コンセプトは明確だ。「大人の癒し空間」そう思ってもらえる、心ときめくサロン。厳選された髪と地球に優しい商材たち。アンティークの鏡、カフェ風なカウンター、ふかふかのソファが織りなす、夢のような内装…想像するだけでワクワクします。
しかし、この熱い想いの前に、巨大な壁が立ちはだかる。その名は、忌まわしき**「事業計画書」**!
家賃、光熱費、サブスク代…カタカナの羅列は、まるで古代の呪文のように頭痛を誘う。利子返済?それは一体いくらの諭吉が飛んでいくというのだ?数字の羅列は、まるで敵キャラのステータス画面のように、理解不能で恐ろしい。
ハサミとコームを相棒に生きてきた美容師人生。数字といえば、お客様の髪の長さを測り、カラー剤の配合を計算し、パーマの時間を計る、それくらいだった。そんな数字音痴が、いきなり「事業計画書」なる高度なクエストに挑むことになったのだから、まさに浦島太郎が現代社会に放り込まれたようなもの。「え?みんな、こんな難しいこと普通にやってるの?」と、世界の違いに愕然とする毎日だ。
例えるなら、運動不足の極みであるデ○(自主規制)が、いきなり「明日はサハラ砂漠マラソンだ!」と告げられたような絶望感。スタートラインに立つ前から、砂漠の熱風にやられそうだ。周りのランナーは涼しい顔でストレッチしているのに、自分だけ砂粒を噛み締めながら、一歩も前に進めない。
「マジで、こんなオラに店なんてできるんだろーか…」
夜な夜な、光るスマホの画面とにらめっこ(この時はまだパソコン持ってない)。エクセルという名の無限ダンジョンで迷い続け、電卓という名の鈍器を握りしめて頭を抱える。眠い目をこすりながら数字を打ち込んでも、それが一体何を表しているのか、まるで暗号解読ゲームのようだ(エクセルするならマジでパソコン必要、スマホでやるのは辛すぎた)。
それでも、諦めるわけにはいかない。お客様の笑顔は、オラのエネルギー源なのだから。自分が創った空間で、お客様が心底リラックスし、最高の自分に出会って、自信に満ち溢れて帰っていく。その瞬間のために、どんな困難にも立ち向かわなければならない。
きっと、普段から事務作業はお手の物、という人から見れば、「そんな簡単なこともできないのか」と鼻で笑われるかもしれない。当たり前だ!オラだって、お客様の魅力を最大限に引き出すカットなら、誰にも負けない自信があるんだから!(謎のプライド)
違う世界で生きてきた人間が、新たな扉を開こうとする時、必ず壁にぶつかる。それは当然のこと。分からないことだらけで、不安に押しつぶされそうになる夜もある。それでも、亀の歩みでもいい、一歩ずつ、泥臭くても前に進むしかないのだ。
まるで、重い鎧を背負って走るマラソンのよう。息切れし、足は悲鳴を上げる。何度も「もうダメだ…」と心が折れそうになる。しかし、脳裏に浮かぶのは、お客様のキラキラした笑顔。その笑顔こそが、オラの進むべき道を示す灯台なのだ。諦めなければ、必ず光が見える。お客様の笑顔という名のゴールが、きっと待っている。
第二部:内装や商材選びが息抜き
事業計画書の数字という名の魔物と格闘する日々の中で、一筋の光が差し込む瞬間がある。それは、お店の内装や使う商材について考える時間だ。
「どんなシャンプーを置こうかな?オーガニックで、香りが良くて、洗い上がりが最高なやつがいいな。」
「お客様がリラックスできるアロマは?ラベンダー?それとも柑橘系?ブレンドしてみるのも面白いかも!」
「雑誌を読むためのiPadでネトフリYouTubeも見れたり観葉植物もたくさん置いて、癒しの空間を演出したい!」
頭の中で描く理想のサロンは、まるで秘密基地のようだ。お客様が足を踏み入れた瞬間、「わぁ!」と歓声を上げてくれるような、そんな特別な空間を創り上げたい。アンティークの落ち着き、ふかふかのソファの心地よさ…五感全てで「最高」を感じてもらえるように、細部にまでこだわりたい。
使う商材選びも、妥協は許さない。髪のプロとして、本当に良いものだけを提供したい。厳選に厳選を重ね、とっておきのアイテムたち。髪に優しく、環境にも配慮した、そんな「本物」だけを届けたい。お客様の髪が、使うたびに輝きを増していく。そんな感動を共有したいのだ。
この時間を想像している時、数字の呪縛は解け放たれる。
事業計画書作りは、まるで迷宮を彷徨う冒険のようだが、内装や商材選びは、宝探しのような楽しさがある。一つ一つ理想のアイテムを見つけ出すたびに、夢の実現が近づいている実感が湧いてくるのだ。
お客様が笑顔になるための仕掛けを考えるのは、本当に楽しい時間だ。どんな音楽を流そうか?どんなウェルカムドリンクでお迎えしようか?ちょっとしたサプライズも用意したいな。お客様にとって、この場所が単なる「髪を切る場所」ではなく、「特別な癒しの空間」になるように。そんな想いを込めて、一つ一つ丁寧に準備を進めていきたい。
続く
第三部:あとがき
これ(事業計画書)も皆さんいろんな想いで作ってるのだろうと思います。後から読み返して恥ずかし文章ですが初めてのことを残したいと綴っています。こんな個人的な奮闘記を読んでくださり、本当にありがとうございます。もしかしたら、今、同じように新しいことに挑戦している方、苦手なことに必死で立ち向かっている方がいるかもしれません。もしそうなら一緒に頑張りましょう。